「青年のための読書クラブ」(桜庭一樹)

「読書クラブ誌」それは、とあるカトリック系のお嬢様学校100年の歴史から抹消された闇の学園年代記
学園の異端にして歴史の黒幕…。
物語の傍観者にして事件の目撃者…。
閉ざされた乙女の楽園を舞台に、彼女たちが記録した正史では語られてこなかった5つのエピソードから成る一冊。

予想していた桜庭版「マリみて」と言った甘美な要素は控えめ。それよりも芝居がかった台詞回しやどこか背徳的な雰囲気にやられてしまった。容姿はさておき「ぼく」一人称の少女にはドキリとしてしまいますなぁ。

第3話の1980年代後半のバブル華やかな頃の話が荒唐無稽で楽しかったかな。
残念なのは分量不足。設定の妙に加え読みやすい文章・内容なのでサクサク読み終えてしまった。まだまだ聖マリアナ学園の世界に浸って、乙女たちの紡ぎだす歴史を俯瞰していたい。何はともあれ桜庭作品では久々のヒットでした。

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ